羽釜のようなぐるりが付いた手吹きガラスの小鉢はイランのもので、歪みや気泡が何ともおおらか。イランのガラスは放っておくと油膜のような曇りが出来るのが謎である。見るからに涼しげで、ひんやりしたものが似合いそう。
今日は寒天を煮て、小豆も煮て、よぅく冷やしていただこう。それが善哉か汁粉か、という議論を白黒はっきりさせることはもはや無理だと思うが、ただ「冷やし」の後には汁粉よりも善哉の方がしっくりくる気がする。
わたしは関東の人間だから、断然お汁粉のほうが馴染みがあるのだが。
小豆の煮方。わたしはいつもの10分煮て30分放置を2~3度繰り返す方法で煮る。
時短ではないが、火を使う時間は比較的少なくて済む。
鍋に洗った小豆とかぶるくらいの水を入れ、火にかける。沸騰したら一度湯を捨て、再び4倍量ほどの水で煮始める。沸騰したら蓋をして、弱火で10分間煮て火を止め、30分放置 。これを2回繰り返すと、新しい豆なら8割方煮えている。
もしまだ固さが気になるならもう1セット行う。砂糖を入れるとそれ以上柔らかくならないので、完全に柔らかくなってから砂糖を入れる。砂糖の量は小豆の7割から10割くらいまでの間で好みで加減。
そして微量の塩が甘さを引き立てる。
100gの小豆に対しひとつまみの塩。砂糖と塩を入れたらひと煮立ちさせる。今回はあんこではないので、ポタージュほどのゆるさで。砂糖もグラニュー糖ならすっきりと、きび砂糖など茶色い砂糖でこっくりと、お好みで。出来上がった小豆を器に入れて、冷蔵庫で 冷やす。
寒天の作り方 。
棒寒天1本を水でふやかし、500ccの水にちぎって入れ2~3分間煮溶かし、砂糖大さじ2杯を入れて溶かす。濾した寒天液をバットか流し缶に流し入れる。常温で粗熱を取りつつ固め、冷蔵庫で冷やす。さいの目に切る。冷やしたぜんざいに寒天をのせる。
小豆をもう少し煮詰めてあんこにし、また違った一品を。
器に寒天を入れてあんことアイスクリームを添えて黒蜜かけて。梅や杏などのすもも系のジャムをのっけたら、簡単にクリームあんみつが出来る。
今月の器
イラン手吹きガラス小鉢 径11cm、高さ8cm
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中村宏子/料理家
レシピやお料理にまつわるエッセイを執筆。
ケータリング、イベント出店など。
作ることと美味しいものに目がない。台所を実験室に、五感を総動員して食べ物と向き合う。料理や食事の途中で感動の瞬間を見つけたら、すぐ写真に撮っている。食材から感じる季節、器や道具、そして料理する…エッセイを通じて、”日々作って食べること”のきっかけになったら嬉しい。
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