盛ル。その7 甘酸っぱいかぼちゃ

古道具屋を営む友人は、ちょこちょこわたしに物をくれる。とは言え、大体は店に並べられないようなジャンク品なのだが。いつだったか、小振りな白いスープ皿を3枚くれた。さる高名な書道家の家から出たものだというが、銘も無く、それほど良い品とは思えない。それに、食器としてでなく書道周りで使っていたものと見え、墨がにじんだ跡もある。それ故に、食器棚にあってもなんとなく愛着がわかない。久しぶりにこの洋風な皿を引っ張り出して、イタリア風の甘酸っぱいかぼちゃを盛ろうと思う。

 

かぼちゃ1/4こ(約250g)は厚さ8mmの櫛形に切り、オリーブ油をまんべんなくまぶして200℃のオーブンで20分ほど焼く。ボウルに赤ワインビネガー大さじ3、はちみつ30g、塩小さじ1/2、黒こしょうを少々挽いてマリネ液を作り、ここに干しぶどう30gと戻して刻んだドライトマト2枚分(省略可)、かぼちゃを入れてざっくりと和える。

オーブンが無い場合は、フライパンでじっくり焼き付けてもおいしく出来る。赤白どちらのワインにもとても良く合う。

 

 


今月の器

スープ皿 径18cm、高さ4cm

 

 


 

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中村宏子/料理家
レシピやお料理にまつわるエッセイを執筆。
ケータリング、イベント出店など。

作ることと美味しいものに目がない。台所を実験室に、五感を総動員して食べ物と向き合う。料理や食事の途中で感動の瞬間を見つけたら、すぐ写真に撮っている。食材から感じる季節、器や道具、そして料理する…エッセイを通じて、”日々作って食べること”のきっかけになったら嬉しい。

 

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Author Little TAO