盛ル。その6 和えないいちじくの白和え

4、5年ほど陶芸をやっていた時期があって、最初は何も考えず夢中で作っていたのが、だんだんと自分と向き合わなくてはならなくなり、良くも悪くもそれが作品に表れるのが辛くなって辞めてしまった。当時、李朝の白磁に傾倒していた時期でもあり、耳盃という持ち手の付いた器を真似た器を作った。もうずいぶんと昔の話なので、今あらためて見てみると下手さ加減にも目をつぶれるようになった。

そんな器に、これからが旬のいちじくを盛ってみる。

まずは白和え衣の作り方。木綿豆腐1/2丁(今回は360gの豆腐の半分)はキッチンペーパーで包みザルにのせ、500gほどの重しを掛けて水切りする。フードプロセッサーかすり鉢に水切りした豆腐、白みそ小さじ1、白練りごま小さじ1、煮切ったみりん小さじ2、塩少々をいれて滑らかにする。目の細かい網で濾してもよい。

ここは手を抜かずに滑らかに仕上げる。

いちじく2個は皮をむき4等分する。いちじくを盛り、白和え衣を乗せる。いちじくに関しては混ぜないで乗っけただけの方が美味しそうだと思う。その他、茹でた青菜や根菜等の場合は混ぜる。少し汚した浅くも深くもない器に、いちじくのぼんやりした赤がしっくりくる。

でも、本当にこの器に似合うのはキムチなんじゃないかと思っている。

 


今月の器

李朝耳盃ふう(自作) 口径13.5cm、高さ5cm

 


 

ubsna

中村宏子/料理家
レシピやお料理にまつわるエッセイを執筆。
ケータリング、イベント出店など。

作ることと美味しいものに目がない。台所を実験室に、五感を総動員して食べ物と向き合う。料理や食事の途中で感動の瞬間を見つけたら、すぐ写真に撮っている。食材から感じる季節、器や道具、そして料理する…エッセイを通じて、”日々作って食べること”のきっかけになったら嬉しい。

 

instagram – – – 

 

 

 

 

Author Little TAO